何にでもホモ萌えしてみる会

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「一応、明日は初日だからな。鳳を迎えに寄越してやるよ」

そういえばそんな言葉を投げかけられていたっけ、と主人公はようやく思い出す。
ドアの前に立っていたのは自分よりもずっと背の高い少年で、
きっと彼が鳳なんだろう。
キチンとしめられたネクタイと、糊でほどよくパリパリのシャツ。
ああ育ちのいい子なんだ、と、目を擦りながら、主人公はぼんやりその姿を眺めていた。

「主人公くん、だよね……あの、支度、まだかな?」

慌てたような鳳(と思しき少年)の声に、主人公は「何が、」とあくび交じりに返す。
それから寝癖でぐしゃぐしゃの頭を掻いて、
……またあくびをした。
さっきから主人公は、目を擦るか頭を掻くかあくびをする、それだけの生き物になっている。
そんな彼を鳳は困り顔で見下ろして、自分の腕時計と交互に見た。
テニス部の朝練がなくて本当によかった、と思う。
ただ、このまま主人公が動き出すのを待っていたら、確実に始業時間に間に合わない気がしていた。

「主人公くん、あの、とりあえず着替えようか」

寝ぼけたままの主人公を部屋の中に押し込んだ鳳は、
まず、だらしなく肩がずれたパジャマの、ボタンに指をかける。
器用に上から外しながら、ちらりと主人公の表情をうかがった。

「……」

されるがままな辺り、異存はないんだろう。
全部外してパジャマの上を脱がせ、思い出したように「そうだ、シャワー浴びる?」と聞いてみる。
主人公は

「んー……」

と、YESともNOともつかない声を上げたあと、また大きなあくびをした。
よかった、「浴びる」と言われたら、大きなタイムロスが出るところだった。
鳳は心中でほっと胸を撫で下ろし、壁にわかりやすくかけてあった制服のシャツを主人公に羽織らせた。

「腕、通そうね……はい、上手」

至れりつくせりの鳳に、主人公の眠気は高まるばかり。
うつらうつらと頭を揺らす主人公だったが、逆に鳳は必死だった。
これは時間と、そして主人公との戦いだ。

シャツのボタンを留め終わって、パジャマのズボンを無造作に膝まで下ろすと、
鳳は主人公を一度ベッドに座らせた。
片足ずつ抜いて、それから、今度は制服のズボンを通す。
ともすれば、そのままベッドに沈んでしまいそうな主人公に何度も声をかけて、
頼むから起きてくれと祈り続けた。口にも出した。
でもズボンを履かせている最中には起きないでほしい、とも思っていた。何となく。

ベルトまできちんと締めて、ジャケットを着せ、ネクタイを締めようとしたところで、

「……あれ?」

主人公が起きる。
折りしもそれは始業5分前で、寮から校舎までは3分。
走れば教室まで余裕で間に合う、と踏んで、鳳は主人公を立たせた。

「走るよ、主人公くん!」

「え? え!?」

手を引かれて、何が何やらわからないままに引きずられていく主人公。




--------------------------------


「ごめんね、主人公くん、自己紹介が遅れちゃって。
俺、鳳長太郎。跡部さんから聞いてると思うけど、1週間、よろしく」

「……」

ホームルームが終わっても息の整わない主人公に、鳳は爽やかに笑いかける。

寝起き、それも運動不足の体を一気に酷使したせいで、
主人公は交換初日の自己紹介すらままならない呼吸困難に陥り、
教卓に突っ伏してぜえはあと肩を上下させていた。
結局担任から簡単な紹介をされ、それで終了。
朝から必死な変態ぶりを見せ付けた主人公は、
「大丈夫か? あいつ」とクラス中からヒソヒソされる羽目になった。

「大丈夫? 保健室行く?」

鳳は息ひとつ切らしていないというのに、自分は何てザマだ。
一瞬悔しく思ったけれど、すぐに昨日の跡部の言葉を思い出す。

『まあ、あれだ。おまえのクラスは、鳳と一緒だから仲良くしてもらえ』

『俺の後輩だ。テニス部のレギュラーでもある』

テ ニ ス 部 の レ ギ ュ ラ ー。

主人公は知っていた。
「テニス部のレギュラー」という生き物は、総じて人間じゃない。
仏頂面な幼なじみも気のいい親友も、みんな驚異的な身体能力を持っていた。

いたわるように背中を撫で続ける鳳の手を心地よく思いながら、
主人公は「いい、平気」と首を横に振る。


まもなく授業が始まったが、主人公は教科書を持っていなかった。
というか、カバンそのものを持ってきていなかった。
鳳に強引に引っ張られてきたせいだが、
遅刻をしまいさせまいという鳳の厚意なので、文句はもちろん言えない。

だがそのために、

「初日から手ぶら登校……」

と、主人公はまたもクラス中からヒソヒソされてしまうのである。

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----氷帝寮設定です。----





「○○。なあ、進路選択、なんて書いた?」

「普通に進学」

○○の言葉はそっけなかった。
パックのいちご牛乳を飲みながら、ジャンプのページをめくっている。
まさに心ここにあらず。
でもそんなんいつものことなので、俺は俺で話を進める。

「えーそうなんや。俺ね、ココだけの話やけど」

「……」

返事はない。ただのしかばね……じゃなくて、どうやらものすごく漫画に読み入っているようだ。
こっそりページを覗き見ると、「メゾン・ド・ペンギン」だった。
……。
俺は話を続ける。

「実家戻ろかなーて、思てんねん」

「……」

返事はない。
2回も無視されるのは悔しかったので、「何か言え」と催促した。
○○は「へー」と頷く。

「おまえ。もっと何か反応ないんか」

「元気でな」

「違う、違う違う!」

そうじゃない、そうじゃないんだ。
俺が欲しいのはもっとカワイイ言葉なのだ。
「やだやだゆうし、行っちゃやだやだ!」とか、
「行かないで、ゆうし……だっておまえがいなくなったら、俺……」とかの熱い台詞なのだ。
熱い友情、確かめ合いたいのだ!

「……」

○○はわざとらしく溜息を吐いて、俺を睨んだ。

「あのな、侑士。したら俺もココだけの話したるわ」

「うんうん」

身を乗り出す俺に、○○は眉間を寄せて言い放つ。

「前から思ってたけどな、おまえうっさい。部活引退して暇なのわかるけどな、毎日しつこい」

「え……」

「跡部たちに遊んでもらえ。俺の邪魔すな」

「え……」

やだやだ○○、そんなこと言っちゃ……やだやだ!
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「よう、おまえか、手塚の紹介で来た交換学生ってのは」

「……」

主人公は眉を顰めた。
そもそも氷帝学園に着いて早々、職員室よりも先に生徒会室に呼ばれたのが納得いかなかった。
「生徒会長が待ってるから」と入り口で事務員に言われ、そのままその足でやってきたのはいい。
だけど部屋の中にいるのが、こんな偉そうな男だなんて知らなかったのだ。知っていたら来なかった。

「俺の名は跡部景吾。3年だ。生徒会長と、テニス部部長を兼任している」

「……て、」

「て?」

「……、な、何でもない、です」

手塚と一緒だと言いかけて、瞬間の跡部の眼光の鋭さに、主人公は言葉を飲み込む。
もしかしたら手塚のことを気にしているのかもしれない。同じテニス部なら、試合をしたこともあるのだろうと思った。なんとなく。
主人公はテニスにはこれっぽっちも興味がない。

「確か、手塚の幼なじみらしいな」

「な、何で知ってるんですか」

「書類に書いてある」

言いながら、跡部は先ほどから手に持っていた紙の束に目をやる。
主人公は戦慄いた。あの紙にはきっと、ほかにも何かよくないことが書いてある気がする。

「それ、ください!」

テーブル越しに身を乗り出して、主人公は跡部の方へと思いきり腕を伸ばした。
跡部は逃げるように軽く身を逸らして、「やるか馬鹿」と主人公を罵る。
そうして、

「ほかにもいろいろ書いてあるぞ」

と意地悪く笑った。
何だこいつ、と主人公は思う。殴りたい。でも相手は3年生だ。今日会ったばかりの、他校の。
……他校生じゃダメだ、と思った。すっぱりと諦める。

「……」

「まあ座れ」とようやく薦められて、主人公はやわらかなソファに身を沈めた。
よく見れば、室内には値の張りそうな調度品が丁寧に揃えられている。
青学生徒会室の、地味で殺風景なのとは随分と違う。
どちらかというとここは、校長室みたいなイメージ。というか校長室よりも、もっと絢爛なイメージの部屋だった。
でも主人公には、ものの価値がよくわからなかった。高そうな匂いはしても、だからどうということはなかった。所詮無縁である。

主人公が珍しそうに室内を見回す姿を、跡部は得意げに見ていた。
それこそどうだ、俺様の部屋はと言わんばかりの表情で、口元にはいやらしい笑みをたたえている。
主人公にはものの価値はわからなかったが、ふと目にしたその笑顔がとてもいやらしいのだけはありありと理解した。

「……」

主人公の不審げなまなざしに、跡部がひとつ咳をする。

「まあ、あれだ。おまえのクラスは、鳳と一緒だから仲良くしてもらえ」

「おおとり?」

「俺の後輩だ。テニス部のレギュラーでもある」

ふうんと、主人公のどうでもよさそうな相槌に、跡部がまた咳をした。
主人公のような打っても響かないタイプの人間は、跡部にとっては鬼門だった。
跡部は気を取り直して腕を組み、主人公を値踏みするように眺める。

「ところで、おまえ……」

「?」

「手塚の幼なじみなのに、テニスはやらないのか?」

(以下、跡部がしつこく
1:テニスのすばらしさについて語る
2:テニスを薦める
3:主人公にテニスをやらないのかと聞く
4:どうしてやらないのかと聞く
5:手塚の幼なじみなのに? と不思議がる
6:その他、どうでもいい自慢話
1~6がえんえんえんえん続くので省略)








その夜、手塚のもとへと1通のメールが届いた。


---------------------------------


From: 主人公
To: 手塚国光
Subject: おい

何でおまえの幼なじみだと
テニスをやらなきゃいけないんだ
ばか!!!!!!


---------------------------------


時刻は夜10時。
知るか馬鹿、と思いながら、手塚はさっさと布団にもぐりこんだ。
返信はもちろんしない。 このページのトップへ
校門から閉め出された主人公がまず初めにやったことと言えば、
携帯電話を取り出してクラスメイトにメールを送ることだった。

---------------------------------


From: 主人公
To: 桃城武
Subject: 今日

今日これからひょうてい行こうぜ


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……説明が遅れたが、主人公は2年生である。
彼が手塚に馴れ馴れしく話しかけられるのは、その神経がごんぶとであったことと、それから何より、2人が幼なじみであることが大きかった。

「……」

とりあえず送信。
時刻はすでに2時限目の授業へと入っている頃だろうが、――返事は光の速さで届いた。


---------------------------------


From: 桃城武
To: 主人公
Subject: Re:今日

おまえ何言ってんの?
無理に決まってんじゃん( ´,_ゝ`)


---------------------------------


「……」

むかつく顔文字。むかつく文面。
それでも主人公はめげない。
1人で氷帝学園に出かけるなんて、絶対に嫌だった。
主人公は、知り合いへの態度はとても横柄でぞんざいだが、実は人見知りがとても激しい性質である。(恥ずかしいので誰にもひみつだが)
要は内弁慶なのだ。


---------------------------------


From: 主人公
To: 桃城武
Subject: Re:RE:今日

どうせ授業聞いてないんだろ
門のところにいるから早く来いって


---------------------------------


送信。そしてまたも秒単位で返信。


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From: 桃城武
To: 主人公
Subject: バカ

しつこいっつーの
他のやつ誘え


---------------------------------


From: 主人公
To: 桃城武
Subject: バカはおまえ

俺にはおまえしかいない
早く来い


---------------------------------


送信。
しかし、今度の返信はしばらく待っても来なかった。
おかしい、と思う。
文面に構う暇はなく、同じものをもう一度送ってみた。

「……」

やはり返信はない。




その頃、主人公からの鬱陶しいメールに授業中の安眠を妨害された桃城は、ついに耐えかねて、彼からのメール内容をそのまま手塚に転送していた。
真面目に授業を受けているのだろう、手塚からの返信は当然すぐにはない。
でもきっと、休み時間になれば確認してくれるはずだ。

「ふわ~ぁ」

桃城、あくびをひとつ。
携帯の電源を切って、ゆっくりと机に突っ伏し、睡眠体制に入った。





「おかしい」

主人公から桃城へのメール送信数が軽く2けたを超えたころ、校舎から授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。
主人公は頭を捻り、桃城からの返信を待ち続けてひたすら携帯と睨み合いを続けている。
その間に裏門から学園内に入るなり、さもなくばさっさと諦めて氷帝に行くなりすればいいものだが、主人公の主人公たるゆえんは、その間抜けさ加減にあった。
頭のなかにはひとつしか引き出しがなく、何かをやりだしたらそれ以外見えなくなってしまう。
視野が極端に狭いのだ。
主人公の頭には今、「桃城からの返信」しかなかった。




ピンポンパンポーン。




ふと、軽妙な音楽が校舎から聞こえてくる。
続いて静かな声。
手塚だった。


『校門前でグダグダと授業の妨害をしている2年生徒。さっさと氷帝学園に行け』


「……なっ!!!!」

「俺のことか」と憤り、主人公は門の間から、校舎を睨みつける。
が、放送を聞きつけた生徒たちが一斉に窓際に集まり、その好奇の視線に晒された時点で主人公の負けは決定していた。
恥ずかしい。これは、死ぬほど恥ずかしい。
慌てて門柱の影に隠れるものの、そこに手塚が追い討ちをかける。


『繰り返す。校門前でグダグダと授業の妨害をしている2年生徒。さっさと氷帝学園に行くんだ。
言っておくが、ここにはもうおまえの居場所はないぞ』


「……て、手塚のばーーーーーか!!!!!!!!」


腹の底から力いっぱい声を張り上げて、主人公は校舎に向かって叫んだ。
そうしてそのまま、逃げるように校門を去る。

(居場所がないだと!? ああそうか、そうかよ、もういいよ!)

こうなったら二度と戻ってやるもんか、と主人公は涙目になりながら思った。





主人公はもちろん、受け取ったプリントの内容なんか初めの数行しか読んでいない。
そもそも、読んだって「読んだだけ」で、頭の中には何も入っていなかった。
なので当然のように、交換学生制度の期限が原則1週間であることも知らない。 このページのトップへ
どうでもよくなってきた手塚は静かにため息をついて、それこそどうでもよさそうに腕を組んだ。

「……おまえが一番健康だったんだ」

これは本当だ。
氷帝学園は都内でも髄一の、格式高い私立校である。
通っている学生が金持ちのお嬢ボンボンなら、制服だってデザイナーズブランドの手によるものであり、ついでに学食の値段はそこらのファミレス以上だし、当然通っているチャイムの音はチャペル風だ。
とにかく青春学園とは何もかもが180度違う。
そんなふうに環境がガラリと変わっても適応できるほどの体力と神経の太さを持つ学生といったら、
――手塚には主人公しか思いつかなかった。

それでも納得しない主人公は、子どもみたいに地団駄を踏んでいやだいやだと喚く。

「俺があんなおボン校(お嬢ボンボンの略)でやっていけるわけないだろ!」

「……」

おまえが無理ならほかの人間はもっと無理だ、と手塚は思った。
でもこれ以上カドが立つと困るので、眉をしかめて考え込むふりをする。
主人公はなおも続けた。

「自慢じゃないけどな、俺はファミレスといったらサイゼリヤで、頼むのはいっつもドリアだぞ! 290円の、エビ入ってない方だぞ!」

「……それは知ってる」

主人公の友人であるなら、それは周知の事実だった。
栄養が偏るのでと、サラダは大抵手塚がおごっている。

手塚の言葉に、「ほら見ろ!」と主人公がふんぞり返った。

「な、俺には無理だろ!」

「ああ……確信した」

手塚、ふたたびため息。
主人公に向き直り、その肩に両手を置く。

「おまえならできる」





その後の手塚は、素早かった。
主人公の荷物を校門の外に放り出し、主人公の尻を蹴って本人をも外に出した。
突然のことに呆ける主人公を尻目に、開け放してあった校門を思いきり閉めた。
鍵も閉めた。

「……」

「行ってらっしゃい」

門の向こうからひらりと手を振った後、手塚はそのまま、何事もなかったかのように校舎へと姿を消す。
主人公は手塚の背中を見送って見送って、見えなくなるまで見送ってのち、ようやく

「……あ!!!!!」

我に返ったのであった。





最後になるが、今までのやりとりはすべて校門前での出来事である。
主人公は、遅刻して登校してきたところを手塚に捕まっていたのだ。

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鳥さん
  • Author: 鳥さん
  • 2007年もホモまっしぐら!

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